診療案内

頭痛

頭痛

ひと口に頭痛といっても、ぎゅーっと締めつけられるような痛みや、脈打つようなズキンズキンとした痛みなど、その症状はさまざまです。症状や原因によって、対処法も異なってきます。
なかには、脳腫瘍やくも膜下出血、脳出血、脳梗塞など、脳の疾患に起因する場合もあり、放っておくと後遺症が残ったり、時には生命に関わったりする場合もあります。
どんな頭痛でも自己判断せず、きちんとその原因を追求することが大切なのです。

脳疾患に起因しない頭痛

  • 緊張型頭痛

    緊張型頭痛

    おもに筋肉の緊張、いわゆる凝りが原因で起こるとされているのが緊張型頭痛です。デスクワークやスマホの操作などで長時間同じ姿勢を継続することによる筋肉のこわばりや、冷えなどによる血流の滞りによって周辺の神経が刺激され、痛みが発生するのです。
    さらに、筋肉の凝りだけでなく、職場や家庭内の人間関係などによる精神的なストレスや疲労、不安や抑うつなどが原因で緊張型頭痛が引き起こされるケースもあります。
    肉体的緊張と精神的緊張の2つの緊張を軸に、さまざまな要因が絡み合って起こります。

    このタイプの頭痛では、首や後頭部を中心に、頭全体が締めつけられるような鈍痛が、長時間続きます。我慢すればなんとか日常生活や仕事などをこなすことができる程度の痛みが特徴です。

    緊張型頭痛は、薬での治療が難しい頭痛の一つです。筋肉をほぐす働きを持つ薬を処方することもありますが、入浴やストレッチなどにより、凝ってしまった筋肉をほぐし、血行を促進することをおすすめしています。
    精神的な緊張が原因である場合は、適度な気分転換をすることもおすすめです。

  • 片頭痛

    片頭痛

    片頭痛は低気圧などの気候の変化や疲労、ストレスなどの影響で、脳の血管が異常拡張することで痛みが発生するといわれています。また、脳内物質セロトニンの増減に関わって起こるという説も有力です。
    緊張やストレスによって脳内にセロトニンが増加すると脳の血管は収縮しますが、緊張から解放されてリラックスするとセロトニンは減少し、それにつれて脳内の血管が拡張します。この際に周囲の神経に炎症を起こしたり、血管が異常拡張したりすることで、片頭痛が起こります。

    片頭痛では、ズキンズキンと脈打つような痛みが周期的に現れます。男性より女性に多い傾向があり、学校帰りや会社帰り、休日などの緊張から解放されるタイミングで痛みが発生する場合が多いようですが、朝起きた瞬間から痛みに悩まされるケースも。また、季節の変わり目や急激な気圧変化、盛夏の強い日差しなどをきっかけとして起こることもあります。

    痛みの前兆として視野の一部が欠けたり、ギザギザした模様が見えたりする閃輝暗点が現れることもあり、ひどい頭痛に嘔吐が伴うこともあります。音やにおいに過敏になるという症状が出る人もいるようです。10代からの比較的若い世代に多い頭痛で、痛みの発生は月に一度程度の人から頻回な人までさまざまです。

    治療としては、血管の拡張を防ぐ、あるいは拡張した血管を収縮させる働きを持つ薬を処方するのが一般的です。予防として血管の拡張を防ぐ薬を処方することもあります。また、チョコレートやチーズ、赤ワインなど、痛みを誘発する可能性がある食品を摂取しすぎないように心がけることも大切です。

  • 群発頭痛

    群発頭痛は片頭痛と同じく脳の血管の拡張と、その周辺の神経の炎症などを原因として起こるといわれています。

    女性より男性に多く、目の奥をグリグリと強く刺激されるような激しい痛みがその特徴です。年に数回、あるいは数年に1回程度症状が起こることが多いと言われています。

  • 後頭神経痛(大後頭神経痛)

    疲労やストレス、体調不良などを原因として起こる後頭部の神経痛が後頭神経痛(大後頭神経痛)です。

    後頭神経痛(大後頭神経痛)では、神経に沿ってズキッと瞬間的に痛みが走るのが特徴で、座骨神経痛や肋間神経痛などと痛みの質が似ているとされています。

  • ホルモン性頭痛

    女性に特有の頭痛で、排卵や月経に伴い、女性ホルモンが増減することによって引き起こされる頭痛です。
    生理前後に限って症状が現れるなど、ホルモンの関与が疑われる頭痛では、漢方薬が処方されることもあります。

  • 薬剤乱用頭痛

    いわゆる鎮痛薬の飲み過ぎにより、もともとあった頭痛がさらにひどくなってしまった状態です。月に10回以上も鎮痛薬を服用してしまう場合などでは、肉体的にも精神的にも薬への依存強くなっていることが疑われます。

  • 混合型頭痛

    多様な原因による頭痛が混合して発生することもあり、連日なんらかの頭痛に悩まされることになります。自己判断により鎮痛薬を多用してしまうと、薬剤乱用頭痛に移行してしまいます。

脳疾患に起因する危険な頭痛

  • くも膜下出血

    くも膜下出血

    脳疾患を原因とする危険な頭痛のなかでも、最も危険で命に関わるのがくも膜下出血を原因として起こる頭痛です。くも膜下出血は、脳の血管の枝分かれした部分にできる動脈瘤という血管のこぶが破裂することによって起こります。

    くも膜下出血による頭痛では、いきなりハンマーで殴られたような激しい痛みが「ガンッ!」と起き、続いて吐き気や嘔吐が起こったり、ひどい時には意識不明の状態に陥ったりします。いびきのような呼吸が現れたらかなり危険な状態ですが、さらに危険なのは呼吸が止まってしまう状態です。ためらうことなく救急車を呼びましょう。
    寝ている間に起こることは少なく、冬の入浴時、外出時、排便時など、寒暖差の激しい環境や急に力を入れた際に発生することが多くなっています。

  • 脳腫瘍

    脳腫瘍

    脳腫瘍による頭痛はゆっくり進行します。最初は何となく頭が重く感じられすっきりしないという「頭重感」として自覚され、日を追うごとにだんだんと強い頭痛を感じることが多くなってきます。腫瘍が良性なら頭痛が起こるまで数年かかりますが、悪性なら数週間から数ヶ月で大きくなり、頭痛も徐々に悪化していきます。長引く頭痛や、徐々に悪化する頭痛がある場合は要注意です。

    特に脳内の圧が高くなりがちな朝に頭痛が強い傾向があり、「早朝頭痛(morning headache)」は、脳腫瘍による頭痛の特徴の一つとなっています。横臥した状態から起き上がると多少痛みが改善することもありますが、脳腫瘍による頭痛では、基本的に症状が自然によくなるということはありません。
    脳腫瘍が大きくなると、手足や顔面の麻痺、言語障害、異常行動など、頭痛以外の症状も出現します。ひきつけのようなてんかん発作という症状が出る場合もあります。

    脳腫瘍には脳の中にできるものと頭蓋骨と脳の間にできるものがあり、脳の中にできるもののほうが悪性の可能性が高い傾向にあります。脳内に発生する神経膠腫(しんけいこうしゅ)やリンパ腫は、悪性に分類されることが多く、頭蓋骨と脳の間に起こる髄膜腫(ずいまくしゅ)や神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)、下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)などは、おおむね良性に分類されます。
    悪性腫瘍は比較的早いスピードで大きくなるため、症状も早く出てきます。一方、良性腫瘍は時間をかけてゆっくり大きくなるため、頭痛や手足の症状が出た時にはすでに巨大な腫瘍となっており、結果として治療の難易度が高くなってしまうという場合もあります。

  • 椎骨動脈解離

    椎骨動脈解離は、脳の血管が裂けることによって、おもに首の後ろから後頭部にかけて、「バキバキッ」というような突然の痛みが現れます。激しい首の運動や特殊な遺伝病などで起こることもありますが、はっきりした原因もなく突然起こってしまうことも非常に多く、壮年の男性にやや多い傾向があります。

    首の痛みが主訴となることから、寝違えによる筋肉の痛みと思ってしまうこともあります。また、後頭神経痛の痛みにも似ているため、問診や診察だけでは診断をつけづらいのも椎骨動脈解離の特徴です。

    椎骨動脈解離が進行し動脈の外膜まで裂けてしまうと、くも膜下出血となります。また、傷ついた内膜に血栓ができると脳梗塞を起こすこともあります。解離後数日から数週間かけて進行し、痛みを感じた数日後に重症となる可能性もある疾患です。

めまい

めまい

めまいには視界がぐるぐると回る回転性めまいと、立ち上がったり歩いたりする時にふらつくような動揺性めまいがあります。耳の奥にある三半規管の一時的な障害で起こるものから、小脳や脳幹に原因があるもの、頸が原因で起こる頸性めまい、自律神経に起因するものまで、その原因もさまざまです。

特に危険なのは、小脳梗塞や小脳腫瘍、小脳出血といった小脳の疾患によって起こるめまいであり、症状だけで原因を特定することが難しい場合も多く、MRI検査による画像診断が必要になることもあります。長く症状が続いて改善しない場合には、画像診断を受けることをおすすめします。

脳疾患に起因しない回転性めまい

脳疾患に起因しない回転性めまい

多くのめまいは、耳の奥にあり平衡感覚を司る三半規管の老化などによる障害を原因とする回転性めまいです。頭の向きを変えたタイミングで起こるため、頭位めまい症(良性発作性頭位めまい症)とも呼ばれます。

こうしためまいでは、朝の起床時に急に視界がぐるぐると回り、目を開けることが難しかったり、嘔吐を伴ったりもします。頭と体の向きを変えるとめまいや吐き気がひどくなったり、眼球が左右に揺れる眼振症状が現れたりもします。多くの場合、症状は数時間から一日ほどでおおよそ改善します。
めまいの症状とともに耳が聞こえづらくなる症状がある場合には、メニエール病や他の耳の病気の可能性もあります。

脳疾患に起因する動揺性めまい

立ち上がったり、歩いたりする際に起こる、「ぐらぐら」、「ふらふら」と揺れるようなめまいを動揺性めまいといいます。動揺性めまいは、症状が長く続いて改善しない特徴があります。頭の後部にある2つの小さな脳・小脳に梗塞や腫瘍、出血が起こることで、動揺性めまいが発生します。 歩行中に意図せず左右のどちらかに寄ってしまったり、座っている状態でもゆらゆら揺れたりといった症状も現れます。また、字を書いたりキーボードを操作したり、箸を使ったりといった細かい動作が難しくなるのも小脳の病気の特徴です。寝返りで嘔吐してしまったり、眼球が左右に揺れる「眼振」という症状が現れたりもします。

認知症

認知症

「最近もの忘れがひどくなった」「行動がおかしい」など、ご家族の発言や行動に認知症の不安を感じてはいらっしゃいませんか。認知症はご自身で気づくことは少なく、ご家族の気づきをきっかけに医療機関を受診されることが多い病気です。

認知症の症状

次のような症状がある場合には認知症の可能性もありますので、ご受診をおすすめいたします。

  • ごく最近の会話の内容や行動を忘れてしまう
  • 久しぶりに家を訪問したらすさんでいる
  • お金やものに異常な執着をみせる
  • ごく最近の会話の内容や行動を忘れてしまう
  • 身だしなみに気をつけなくなった

認知症の診断

認知症の診断には、複数の検査や数回の診察による総合的な判断が必要となります。画像診断も大切ですが、同様に問診やご家族からのヒアリングも重要な診断材料となります。当院では、画像診断に加えて血液検査、特殊なテストなどを行い、総合的に認知症の診断を行っています。

もの忘れで初めて受診される方へ

もの忘れの診断については患者さんご本人の自覚症状に加えて、ご家族やご友人などからの周辺情報も非常に大切になります。当日は同居しているご家族、もしくはご本人と一番接することが多い方の同伴をお願いしております。

初診では、2時間ほどと時間をかけて問診・診察・検査などを行います。お時間には余裕をもってお越しください。
午前中は外来や検査が大変込み合っておりお待たせする可能性があるので、午後の時間帯での来院にご協力をお願いいたします。
また、特殊なMRIの解析や血液検査の結果は、後日に再度受診していただいた際にご説明いたします。診断までに最低でも2回の受診が必要になります。あらかじめご了承ください。

認知症の診察の流れ

※状況により検査の順番が異なる場合があります

脳卒中

脳卒中

脳卒中は、つい先ほどまで元気だった人が、脳の異常が原因で、突然頭痛や嘔吐、麻痺などを起こしたり、ひどい時には意識を失ったりする症状の総称を指しています。

脳卒中の約7割は脳の血管が詰まって組織の一部が壊死する脳梗塞、約2割が脳の血管が切れて出血が脳を破壊しながら広がる脳出血、残りの約1割が脳の血管にできたこぶが破裂して脳の表面に血液が回りこむくも膜下出血です。

脳梗塞

脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が詰まることにより脳の一部分が壊死してしまい、さまざまな症状が出現する病気です。脳のどの部分に発生したかによってさまざまな症状をもたらし、手足の動かしづらさやしびれ、顔面の麻痺、ろれつが回らない、言葉が出づらい、視野が欠ける、言動がおかしい、ふらつき、めまいなど、病気が発生した脳の部分の役割と一致した症状が現れます。一度壊死した脳は元に戻らないため、後遺症が残る場合も少なくありません。

脳梗塞には原因別に大きく分けて2つタイプがあり、脳の血管が徐々に細くなり潰れてしまう脳血栓症と、心臓や大動脈、頸動脈など、体の他の部分の血管内でできた血の塊が脳の血管に流れついて詰まる脳塞栓症といいます。大きな血栓となりがちな脳塞栓症のほうが重症になりやすい傾向にあります。

10年ほど前までは脳梗塞の治療といえば、脳の他の部分での再発を防ぐ投薬が中心でした。近年では、発症から数時間以内であれば血栓を溶かす治療が行われるようになり、症状が良くなるケースも増えてきました。とはいえ、この治療を行えるケースはいまだ限定的です。現在でも多くの患者さんの治療は、再発を予防する投薬治療と早期のリハビリテーションが中心です。また、脳梗塞の原因となる動脈硬化の進行は、高血圧、高脂血症、糖尿病、加齢が原因ですので、生活習慣病の管理も同時に行っていきます。

脳出血

脳出血

脳の血管が切れて脳の中で出血し、脳の組織が破壊される病気が脳出血です。以前は脳溢血(のういっけつ)と呼ばれていました。多くの場合、高血圧によって血管が切れてしまうことが原因で、頭痛、嘔吐、手足の麻痺などの症状が現れます。意識の混濁や昏睡に陥るケースもあり、脳梗塞に比べても重症になりやすい病気です。

動脈硬化が進行することによって血管の弾力がなくなり、血管壁にかかる圧力が高くなることで高血圧の状態となります。この状態を放置したままで、急に寒い場所に身を置いたり、トイレでいきんだりといった血圧をさらに上昇させる行動をとることで、脳内の細い血管が切れてしまいます。

出血がかなり多い場合には手術によって血腫を除去することもありますが、よほど多くない限りは血腫が自然吸収されるのを待ちます。発症時には高血圧であるため、再出血を防ぐために投薬による血圧の管理も行われます。麻痺やその他の症状があれば、早期のリハビリも同時に行っていきます。

くも膜下出血

脳の血管の枝分かれした部分にできる動脈瘤という血管のこぶが破裂することによって起こるのがくも膜下出血です。激しい頭痛や嘔吐、意識の混濁やいびきのような呼吸の異常が発生し、数分で命に関わる重篤な状態に陥ることもあります。

くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤は破裂しない限りほとんど症状がありませんが、MRI検査を行うと、100人のうち3~4人には破裂していない未破裂脳動脈瘤の発生が認められるといわれています。

くも膜下出血を引き起こす脳動脈瘤の破裂は、ほとんどのケースで突然起こりますが、急にこぶが大きくなった場合に、ものが2重に見えたり、左右どちらかのまぶたが垂れ下がってきたりする症状が見られる場合があります。この症状は破裂に危険が迫っているサインで、治療を急ぐ必要があります。

脳動脈瘤の治療は、脳動脈瘤を特殊なクリップでつぶす「開頭脳動脈瘤クリッピング術」と、血管の中から細い針金のようなものを動脈瘤に詰めていく「血管内脳動脈瘤コイル塞栓術」の2つの治療法があります。どちらの治療にも向き不向きがあり、脳動脈瘤の大きさや形、発生している場所の違いにより、治療法が選ばれます。

頭のけが

頭のけが

転倒や転落などにより、頭をぶつけてけがをすることは、お子さんや高齢者で特によくあることです。軽い打撲であれば問題ないケースも多いですが、特に側頭部や後頭部の打撲には注意が必要です。
耳の上に位置する側頭骨は薄い構造から折れやすくなっており、後頭部の打撲は強い打撲になりがちなため、頭がい骨骨折や脳に損傷を負う脳挫傷になることが多くなります。
頭部に外傷を負った場合は、機器による迅速な検査と診断が欠かせません。ぜひ当院にご相談ください。

頭部打撲

転倒や転落による一般的な頭部や顔面へのけがで、最も軽度に分類されるものです。しかし、頭蓋骨骨折や頭蓋内出血を伴う場合もあります。

頭蓋骨骨折

頭部打撲に強い衝撃を受けたケースで、頭蓋骨にひびが入るような線状骨折が発生することがあります。さらに、頭蓋骨が部分的に陥没する陥没骨折を認めることもあります。

外傷性頭蓋内出血

転倒や転落などによる頭部への外傷により、頭蓋内に出血をきたすことがあります。出血する部位や層により脳挫傷、急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、外傷性くも膜下出血などと呼称が異なります。こうした出血では、時に手術が必要になることもあります。

慢性硬膜下血腫

特に高齢者において、頭部に外傷を負い、出血したのちに1~2ヶ月かけてゆっくりと頭蓋内に血液が溜まることがあります。歩行困難や認知症のような症状を認めることもあります。

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